LayerX QAエンジニアがClaude Code Agent Skillsでテスト戦略を実装した話
概要¶
LayerX QAエンジニアの小山が、バクラク事業部での品質定義やテスト戦略を Claude Code Agent Skills に落とし込み、早期テスト(Shift Left Testing)の原則を実践した取り組み。「QAの言語化がAI時代のレバレッジになる」という主張。
詳細¶
Claude Code Agent Skills とは¶
Claude Code Agent Skills は、ドメイン知識やチームの作業手順を「スキル定義ファイル」として記述し、Claude Code に繰り返し使わせる仕組み。.claude/commands/ ディレクトリに Markdown ファイルを置くことで、/スキル名 というスラッシュコマンドとして呼び出せる。
.claude/
commands/
qa-review.md # QAレビュースキル
test-strategy.md # テスト戦略スキル
release-check.md # リリース前チェックスキル
単なるプロンプトテンプレートではなく、「このプロジェクトにおける品質の定義」「どのテストをどのタイミングで書くべきか」「受け入れ条件の書き方」といったチームの暗黙知を形式知として埋め込む場所。
LayerX での実践:QA知識をスキルに落とし込む¶
バクラク事業部での取り組みでは、以下のような品質定義をスキルとして記述した。
# qa-strategy スキル(概念例)
## テスト方針
- ユニットテスト: ビジネスロジック(ドメイン層)を中心に書く
- 統合テスト: DB・外部API・メッセージキューとの境界に書く
- E2Eテスト: クリティカルパス(請求書の発行フローなど)に絞る
## 品質定義
- バグとは「受け入れ条件を満たさない動作」
- 受け入れ条件は Given-When-Then 形式で書く
- 境界値・異常系は必須でカバーする
## 受け入れ条件の書き方
Given: [前提状態]
When: [操作・イベント]
Then: [期待される結果]
このスキルを Claude Code に与えると、コードを生成する際に「このコンテキストでは何をテストすべきか」を自律的に判断して実装できるようになる。
Shift Left Testing:早期テストの原則¶
品質保証のコストは後工程ほど指数的に上がる。
「早期テスト」とは、テストを後回しにせず設計・実装と同時に行うこと。Claude Code にテスト戦略を Skill として与えると、コード生成と同時に「このロジックには境界値テストが必要」「このメソッドは副作用があるので統合テストが必要」という判断を織り込んでくれる。
QAの言語化がAI時代のレバレッジになる理由¶
AI コーディングエージェントは「何をテストすべきか」の文脈がなければ、最小公倍数的なテスト(ハッピーパスのユニットテストを数件書く)しかしない。
QA の専門知識を言語化して Skill に落とし込むことで:
- AI が自律的に品質基準に沿ったテストを書けるようになる
- チームメンバー全員が同じ品質基準で開発できる
- 「なぜこのテストが必要か」の知識がコードベースに残る
AI 時代の QA エンジニアの価値は「テストを書く」ことではなく「何をテストすべきかを言語化する」ことに移行している。
実践:自分のプロジェクトへの適用方法¶
- 現在のテスト戦略を文章で書き出す(「うちは DB 境界には統合テストを書く」など)
.claude/commands/qa.mdに品質定義・テスト戦略を記述する- 実装時に
/qaコマンドで Claude Code に品質レビューをさせる - フィードバックをもとにスキル定義を改善する
「言語化できないなら AI に渡せない」という制約が、逆にチームの品質定義の明確化を促す。
なぜ重要か / いつ使うか¶
- Claude Code を使い始めて「AI が書くテストの質が低い」と感じているチーム
- QA の暗黙知をチームで共有したいとき
- 新しいメンバーがプロジェクトの品質基準を素早くキャッチアップするとき
- テストを後回しにしがちな開発サイクルを改善したいとき
- QAエンジニアとしてAI時代での自分の価値を再定義したいとき